2026/02/17
勉強が苦手な小学生にこそプログラミングが向いている理由!成績では見えない「学ぶ力」の伸ばし方
学習塾に通ってもなかなか成果が出ない、学校のテストの点数が伸び悩んでいる、机に向かうこと自体を嫌がるようになった。そのような状況に直面し、焦りや不安を感じている方は少なくありません。
勉強が苦手というレッテルは、子ども自身の自己肯定感を著しく低下させる要因となり、保護者としてもどのようにサポートすれば良いのか正解が見えず、暗闇の中を歩いているような気持ちになることでしょう。
しかし、学校の成績やテストの点数だけが、子どもの能力のすべてではありません。世の中には、既存の教科書的な学習スタイルには適合しなくても、別の切り口であれば驚くほどの集中力と論理的思考力を発揮する子どもたちがいます。
その一つの有力な選択肢として注目されているのがプログラミングです。一般的にプログラミングといえば、算数や理科が得意な頭の良い子がやるものというイメージを持たれがちですが、実は勉強に苦手意識を持っている子こそ、その特性がプラスに働くケースが多く見られます。
なぜ勉強が苦手な子にプログラミングが向いているのか、成績という尺度ではない部分でどのような成長が促されるのか、教育的な視点と実際の現場での事例を交えて解説していきます。
勉強が苦手という言葉の本当の意味
勉強が苦手という言葉は非常にあいまいで、多くの誤解を含んでいます。
一般的に勉強が苦手と言われる場合、それは学校教育における特定の評価軸、つまり記憶力や処理速度、あるいは決められた正解を素早く導き出す能力において、今の時点で適応できていない状態を指すことがほとんどです。
しかし、これを学ぶ力そのものが欠落していると捉えてしまうのは早計です。学ぶ対象や方法が変われば、子どもの脳は全く別の反応を示すことがあるからです。ここでは、成績と能力の違い、そして勉強が苦手とされる子に共通する特性について掘り下げていきます。
テストの点数と学ぶ力は別物である
学校のテストは、一定期間に習った範囲をどれだけ正確に記憶し、パターン通りに再現できるかを測定する側面が強いものです。
したがって、短期的な記憶が苦手だったり、興味のないことに集中力を維持するのが難しかったりする子は、点数という結果だけで評価されると能力が低いと判断されてしまいます。しかし、テストの点数が低いことは、必ずしも思考力が低いことを意味しません。
学ぶ力とは、本来、未知の物事に対して好奇心を持ち、自分なりに考え、試行錯誤しながら理解していくプロセスそのものを指します。テストの点数は結果の切り取りに過ぎず、その子が持つポテンシャルや思考の深さを完全には反映していないのです。
実際に、歴史の年号を覚えるのは苦手でも、複雑なゲームの攻略ルートを論理的に組み立てたり、ブロックで独創的な構造物を作り上げたりする子はたくさんいます。これらは立派な学ぶ力であり、学校の評価軸からはこぼれ落ちてしまっている才能の一部です。
点数という一次元的な指標だけで我が子の能力を決めつけるのではなく、学ぶ力の定義を広げて捉え直すことが、子どもの可能性を開く第一歩となります。
勉強が苦手な子に多い特徴
勉強が苦手とされる小学生には、いくつかの共通したポジティブな特性が見られることがあります。多くの場合、彼らは納得感や興味を強く重視する傾向にあります。
教科書に書いてあるから覚えるという受動的な学習スタイルには苦痛を感じますが、自分が面白いと感じたことや、仕組みが気になったことに対しては、大人が驚くほどの集中力と探究心を発揮します。
これは、興味の対象さえ合致すれば、爆発的に伸びる可能性を秘めていることの裏返しでもあります。
また、直感的な理解や視覚的な情報を好む傾向もあります。文字の羅列を追うのは苦手でも、図解や映像、あるいは実際に手を動かして操作することを通じて情報をインプットするのは得意というケースです。
さらに、彼らは一度失敗するとすぐに諦めるのではなく、納得いくまでこだわりたいという職人気質を持っていることも少なくありません。
学校の授業のように時間内に正解を出すことが求められる環境では、このこだわりがマイナスに働きがちですが、時間をかけて一つの作品を作り上げるような環境では、この粘り強さが大きな武器になります。
つまり、彼らは能力がないのではなく、今の学習環境のルールと自分の特性が噛み合っていないだけである可能性が高いのです。
なぜプログラミングは相性が良いのか
勉強に苦手意識を持つ子どもたちが、なぜプログラミング教室では生き生きと取り組めるのでしょうか。
その理由は、プログラミングという学習の構造自体が、学校の勉強とは根本的に異なるルールで成り立っている点にあります。
ここでは、正解の在り方、失敗に対する捉え方、そしてモチベーション維持の仕組みという3つの観点から、プログラミングと勉強が苦手な子との相性の良さを紐解いていきます。
正解が一つではない学び
算数や国語のテストには、必ず唯一の正解が用意されています。子どもたちは常に正解を探すことを求められ、それ以外の答えはすべて不正解として処理されます。
この正解主義が、勉強が苦手な子にとっては大きなプレッシャーとなり、間違えることへの恐怖心を植え付けてしまいます。しかし、プログラミングの世界には、唯一絶対の正解というものは存在しません。
例えば、キャラクターを画面の右端まで動かすという課題があったとします。ある子は一度に右端まで移動する命令ブロックを使うかもしれませんし、ある子は少しずつ右に動く命令を何度も繰り返す方法を選ぶかもしれません。
どちらの方法であっても、結果としてキャラクターが右端に到達すれば、それはすべて正解です。このように、ゴールへの到達ルートが無数に存在し、自分の考えたやり方が認められる環境は、正解探しに疲れてしまった子どもたちにとって大きな解放感を与えます。
自分なりのアプローチが許容されることで、子どもは恐れずに思考を開始することができ、独自の発想を表現する喜びを知ることができます。
間違えることが前提の授業構造
学校の勉強では、バツがつくことは悪いことであり、できるだけ失敗しないようにすることが求められます。しかし、プログラミングにおいては、最初から完璧に動くプログラムを作れることはまずありません。
プロのエンジニアであっても、書いては失敗し、修正してはまた試すというプロセスを繰り返します。このバグ(間違い)を修正する作業こそがプログラミングの本質であり、学びの中心です。
プログラミング教室では、動かないことが失敗ではなく、動かない原因を探す過程そのものが重要な学習と捉えられます。
先生と一緒に作成する授業スタイルであっても、先生はすぐに答えを教えるのではなく、どこがおかしいかを一緒に探すスタンスを取ります。
そのため、子どもたちは間違えることへの耐性が自然と身についていきます。間違えたら直せばいい、何度でもやり直せるという感覚は、失敗を恐れて消極的になっていた子どもたちの心に、再挑戦する勇気を与えます。
失敗が評価を下げる要因ではなく、完成に近づくためのステップであるという認識の転換は、学習に対する姿勢を根本から変える力を持っています。
小さな成功体験が積み上がる仕組み
勉強が苦手な子は、学習において達成感を感じる機会が極端に少なくなっている傾向があります。テストの結果が出るのは数日後であり、努力と結果の因果関係が実感しにくいこともモチベーション低下の一因です。
一方でプログラミングは、自分が組んだ命令がその場ですぐに画面上の動きとして反映されます。即時フィードバックが得られるこの仕組みは、子どもたちにとって非常に分かりやすい報酬となります。
ブロックを一つ置けばキャラクターが動く、音が出る、色がかわる。このごく小さな成功体験が、授業中に何度も繰り返されます。
スモールステップで課題をクリアしていく過程が可視化されるため、自分はできたという感覚を積み重ねやすいのです。
たとえ複雑なゲームを作る場合でも、それを構成する小さな動きの一つひとつに成功体験が含まれています。この積み重ねが、勉強では味わえなかった自己効力感を育み、次もやってみたいという意欲を引き出します。
成功のハードルが低く設定されており、かつ結果が目に見える形で現れるプログラミングは、自信を失いかけた心に火をつけるのに最適なツールと言えます。
実際の授業で起きている変化
理論上のメリットだけでなく、実際のプログラミング教室の現場では、子どもたちの行動に具体的な変化が現れています。
家庭や学校では見せないような表情や行動が、教室の中で頻繁に観察されています。ここでは、実際に授業中に見られる具体的なエピソードを元に、子どもたちの内面で起きている成長の兆しについて紹介します。
途中で投げ出しがちな子が粘るようになる場面
ある日の授業で、敵キャラクターが弾を発射するというプログラムを作成していた時のことです。普段は少しでも難しいことがあると、無理、分からないと言ってすぐに鉛筆を置いてしまう傾向のある子がいました。
その日も、何度プログラムを直しても弾が変な方向に飛んでいってしまうというトラブルに直面していました。最初は苛立った様子でマウスを動かしていましたが、画面上の動きはおかしいものの、自分が何かを変えるたびに挙動が変わることに気づき始めました。
講師が横につき、X座標とY座標の数字を少し変えてごらんとヒントを出すと、その子は無言で数値を書き換え、実行ボタンを押しました。まだ直りません。
しかし、次は自分からマイナスの数字を入れてみたらどうなるだろうと仮説を立てて試し始めました。以前なら諦めていたタイミングを過ぎても、画面を食い入るように見つめ、試行錯誤を続けていたのです。
そしてついに弾が思った通りの方向に飛んだ瞬間、その子は小さくガッツポーズをし、やったと声を上げました。完成度よりも過程を重視する環境が、すぐに投げ出してしまう癖を、納得いくまで粘る力へと変えた瞬間でした。
自分から質問するようになる瞬間
学校の授業では手を挙げて質問することができず、分からないまま過ごしてしまうことが多い大人しいタイプの子の事例です。プログラミング教室に入会した当初も、先生からの問いかけに頷くだけで、自分から言葉を発することはありませんでした。
しかし、自分だけのゲームを作るという課題に取り組んでいた時、どうしてもキャラクターをジャンプさせたいという欲求が生まれました。テキスト通りの動きではなく、自分のイメージする動きを実現したいという強い動機です。
その子はしばらく自分で考えていましたが、どうしても上手くいかず、ついに自分から先生、ここをこうしたいんだけど、どうすればいいの?と声をかけました。
これは、受動的に教わる姿勢から、目的のために必要な情報を能動的に取りに行く姿勢への大きな転換点でした。プログラミングには、自分の作りたいものを実現するという明確な目的があります。
その目的意識が、羞恥心や自信のなさを乗り越えさせ、他者とコミュニケーションを取るための原動力となります。一度質問して問題が解決する快感を知ったその子は、その後も積極的に質問を繰り返すようになり、コミュニケーションへの苦手意識も徐々に薄れていきました。
誤解しやすいポイント
プログラミング教育に対する期待が高まる一方で、保護者の皆様が誤解しやすいポイントもいくつか存在します。
安易な期待は逆に子どもを追い詰めることにもなりかねないため、ここで改めてプログラミング学習の位置づけや、学校の成績との関係性について冷静に整理しておきます。
勉強が苦手だから逃げ場にするのではない
勉強が苦手だからプログラミングをさせるという選択は、一見すると逃げ場を与えているように見えるかもしれません。
しかし、プログラミングは決して楽な遊びではありません。論理的に物事を組み立て、地道にバグを修正し、自分の頭で考え続けるという、非常に高度でタフな知的活動です。
したがって、これを逃げ場と捉えるのは間違いであり、むしろ別のアプローチでの挑戦と捉えるべきです。
子どもたちは、嫌な勉強から逃げてプログラミングをしているのではなく、自分の脳の使い方がフィットするフィールドで、正当な努力をしているのです。
そこには、学校のドリル学習では得られない種類の忍耐力や思考力が求められます。逃げているのではなく、自分に適した方法で脳を鍛えているのだと理解してあげてください。
この挑戦のプロセスを親が肯定的に捉えることで、子どもはプログラミングを単なる遊びではなく、自分の誇れるスキルとして認識するようになります。
学校の成績との関係はどう考えるか
最も気になる点の一つは、プログラミングをやれば学校の成績が上がるのかという点でしょう。結論から言えば、プログラミング教室に通ったからといって、翌日のテストの点数が急激に上がるという直接的な因果関係はありません。
漢字の書き取りや計算ドリルの速度が、プログラミングによって即座に改善されるわけではないのです。
しかし、長期的かつ間接的な効果は十分に期待できます。プログラミングを通じて培われる論理的思考力(ロジカルシンキング)は、算数の文章題を読み解く力や、国語の構成を理解する力の土台となります。
また、分からないことを粘り強く考える習慣や、試行錯誤を恐れない態度は、すべての学習の基礎となる非認知能力です。
これらが育つことで、結果として学習に向かう姿勢が改善され、巡り巡って成績に良い影響を与える可能性は高いと言えます。即効性のある特効薬としてではなく、学習するための基礎体力を養う漢方薬のようなものとして捉えるのが適切です。
まとめ
ここまで、勉強が苦手な子こそプログラミングに向いている理由と、そこで得られる成長について解説してきました。
学校の成績という一つの物差しだけで測れば苦手と判断されてしまう子どもたちも、評価軸を変えれば、驚くべき集中力や創造性を発揮する可能性を秘めています。プログラミングは、そんな彼らの埋もれた才能を掘り起こすための強力なツールとなり得ます。
勉強ができない=何もできない、ではありません。単に今の学校教育のスタイルが合っていないだけであり、環境さえ変われば水を得た魚のように活躍できる場所があるはずです。
プログラミング教室は、正解のない問いに向き合い、失敗を許容し、個性を尊重する場として機能します。そこで得られる、自分で考え、形にし、動かすという経験は、子どもにとって何物にも代えがたい自信となります。
その自信こそが、将来どのような道に進むにしても、困難を乗り越えるための原動力となるはずです。
もし、お子様が今の学習環境で自信を失っているように見えるなら、ぜひ一度プログラミング教室の体験に参加させてみてください。入会するかどうかを決める必要はありません。
重要なのは、お子様がPC画面に向かい、自分で命令ブロックを動かした時に見せる表情です。普段の勉強の時とは違う、生き生きとした目の輝きが見られるかもしれません。
その瞬間こそが、お子様の新しい可能性の扉が開いた証拠です。親ができる最大のサポートは、子どもが輝ける場所を見つけるためのきっかけを与えることです。
成績表には載らない、一生モノの力を育む第一歩を、プログラミングから始めてみてはいかがでしょうか。

