2025/11/10

先生は答えを教える人ではなく考える力を引き出す人

考える子ども

「先生、これどうやるの?」「ここ、教えて!」

プログラミングの授業では、こんな声が飛び交います。けれど私たちの教室では、先生がすぐに答えを教えることはありません。

「どうすればいいと思う?」
「ここを変えたらどうなるかな?」

そう問いかけることで、子どもが自分で考える時間を大切にしています。先生の役割は、正解を与えることではなく、子どもの考える力を引き出すこと。

今回は、私たちが大切にしている「教えすぎない教育」の考え方と、実際の授業の様子、そしてその中で起きる子どもの変化を紹介します。

「教える」と「育てる」は違う

授業という言葉を聞くと、「先生が教えるもの」というイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、プログラミングのように正解がひとつではない学びでは、教え方よりも子どもの思考を引き出す関わり方が重要になります。

答えを教えると考えるチャンスを奪う

子どもが「分からない」と言ったときに、すぐに答えを示すのは簡単です。けれどそれでは、子どもが自分で考える機会を失ってしまいます。プログラミングはまさに「トライ&エラーの学び」。うまくいかないときこそ、考える力が育つチャンスです。

先生がすべきことは、子どもが考えを整理できるように支えること。その結果、子どもは「自分の力で分かった!」という達成感を得られます。

教室の方針:「教えない勇気」を持つ

私たちの教室では、先生がすぐに手を出さない方針を徹底しています。子どもが困っているときは、まず「どこまでできたか」を一緒に確認し、「どうすればうまくいきそう?」と考えるきっかけを与えます。この問いかけの積み重ねが、思考力の土台を作っていくのです。

① 子どもは考えながら成長する

子どもは誰かに答えを教えられるより、自分で気づいたときに最も大きく成長します。

「気づきの瞬間」が学びを変える

プログラムがうまく動かないとき、子どもが自分で原因を見つけた瞬間に、目が輝きます。それは「分かった」ではなく、「自分で発見した」という体験。この気づきの快感こそ、学びの原動力になります。

授業風景より
ある小4の男の子が、キャラクターが逆方向に動くエラーで悩んでいました。先生は答えを言わず、「もし方向の数字を変えたらどうなる?」とだけ声をかけました。数分後、男の子は「あっ、分かった!」と笑顔に。その後も集中してプログラミングをしてました。

正解を当てる学びから、考えて答えを作る学びへ

学校教育では、どうしても「答えがひとつ」の問題が多くなりがちです。でも社会に出ると、正解のない課題に向き合う場面の方が多い。
だからこそ、子どもたちが小学生のうちから「自分で考える力」を育てることが大切なのです。

② 先生の役割は導くこと

プログラミングの先生は、「教える専門家」ではなく「導く伴走者」です。

「問い」で導く授業スタイル

子どもが迷ったとき、先生はすぐに答えを提示しません。
代わりに、

・「どうしてそう思ったの?」
・「他のやり方はあるかな?」
・「もし違う条件を入れたら、結果は変わる?」

といった考えるための問いを投げかけます。この対話が、子どもの思考を深めるきっかけになります。

先生のコメントより
「子どもが考えている時間を、静かに待つ勇気を持つことが一番大事です。教えてしまえば早いけれど、それでは自分で考える力は育ちません。考えている顔が一番成長している瞬間です。」

答えを一緒に探す「対話型」の授業

教室では、先生も一緒に悩み、一緒に考えます。「じゃあこうしてみようか」「それも面白いね」と、先生と子どもが対等にアイデアを出し合う姿は、まさに共同探究。この体験を通じて、子どもは「先生と一緒に考えることの楽しさ」を学びます。

③ 「教えすぎない指導」が子どもを強くする

子どもを伸ばす最大のポイントは、「少しの不自由を残すこと」です。

自分で考え抜く余白を残す

プログラミングの授業では、あえて先生がヒントを出しすぎないようにしています。子どもが「うーん」と悩む時間は、決して無駄ではありません。むしろ、その時間こそが「考える筋力」を鍛える貴重な瞬間です。

授業エピソード
ある子が作ったゲームが、途中で動かなくなりました。「先生、直して!」と呼ばれましたが、先生は笑って「どこまで動いた?」と聞くだけ。子どもが原因を自分で見つけて修正できたとき、「できた!」という大きな喜びが生まれました。その成功体験が、自信と粘り強さに変わっていきます。

「待つ力」が先生を育てる

先生自身も、子どもを見守る待つ力を磨いています。子どもが自分の考えで進めている間、黙って見守る。これができると、子どもの主体性が確実に伸びていきます。

④ 「考える力」は未来を切り開く力

AIが発達するこれからの社会では、答えを知っている人よりも、自分で答えを作れる人が求められます。

プログラミング教育は、その力を育てる最良のトレーニングです。正解を教えられるよりも、正解を自分で見つける体験を繰り返すこと。
それが、AI時代を生き抜く「考える力」をつくります。

まとめ

先生がすべてを教えてしまえば、子どもはその場では理解できます。でも、自分で考える機会を失えば、学ぶ力は育ちません。

私たちは、子どもの「考える力」を信じています。だからこそ、答えを与えるのではなく、問いを投げかけ、気づきを引き出す先生でありたい。

プログラミング教室の本当の価値は、技術を教えることではなく、考え抜く力と自分で発見する喜びを育てることにあります。その学びが、子どもたちの未来を支える力になると、私たちは信じています。

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