2016/06/22

やさしく教育論①~過剰に褒めることと過剰に叱ることは同じこと

算数の図形

東京都渋谷区にある小学生対象のプログラミング教室スモールトレインで講師をしております福井です。本サイトのコラムは、私が教育について日々感じたことや考えたことについて書いていきます。記念すべき第1回目は「過剰に褒めることと過剰に叱ることは同じこと」です。ぜひご覧ください。

過剰に褒めることと過剰に叱ることは同じこと

塾で長く教えていると様々な子ども、親御さんに会うわけですが、嘘をつく子どもというのも一定程度いるわけです。これはその場でちょっと誤魔化そうと思ってついた子供の嘘と長年嘘をつき続けてきた子供の嘘があって、前者はそれほど問題がないのですが、後者は根が深いんですね。ただ小学生なので、嘘のつき方が下手で、すぐにバレてしまうし、私も長年子どもの嘘と付き合ってきたので何が嘘かすぐに分かってしまい、大事には至らずその子どもにはお説教をして終了し、嘘がバレないで終わることはありません。

では、どんな子どもが嘘をつき続けるのだろうかと考えたときに、二つに分けられます。ひとつは「過剰に褒められた子ども」です。お母さんが過剰に褒めているため、お母さんの前ではできない自分を見せられず、嘘をつきます。テストの点数を修正液で消して100点に直してお母さんに渡すなどがあるわけですが(これは小学生らしく、すぐにバレる嘘なのでかわいいのですが…)、そうした場合でもお母さんは「何かの間違いでしょう」とか「ちょっとした出来心でしょう」となってしまい、子どもが嘘をついたという事実を認めようとしません。

一方、過剰に叱るとどうなるかというと、叱られないようにその場を誤魔化そうとします。叱られたことを直そうとするのではなく、その場を切り抜けることに頭が行ってしまうんです。いろいろと叱られてきたことがあるのでしょう。褒められたことがないのかもしれません。叱られないようにするためには叱られたことを直すのではなく、その場を誤魔化す方が簡単で、やりやすいんです。

これはまだ小学生なので、すぐにバレる嘘で、例えば「宿題をやったのに家に忘れた」と言ったのに、机の中やカバンの中に宿題として出ていたテキストが入っているとか、そういうレベルです。こうした親御さんの場合、嘘がバレるとさらに叱るので問題は全く解決しないという状況になります。なんとかこうした嘘を直してあげたいと思い、いろいろやっては見たのですが、今までの生活習慣と化しているので直りませんでした。とても難しいところです。
このような指摘は多くの育児本にも出ていて、例えば私がよく読む佐々木正美先生の本には以下のような記述があります。

 私たち大人は、子どもに対する「期待の表現」として、子どもをほめたり叱ったりしているところがないでしょうか。(26-28頁)

これは自分が塾の講師としては理解できますが、一人の親としてはドキッとする部分があります。期待をしないという選択肢はないので、どの程度期待をすればいいのかという程度問題になるわけですが、なかなか難しいものです。その程度をどうすれば良いのでしょうか。

 ほどほどにほめて、「できたからって、それほど大したことではない。仮にできなかったとしても、それはそれでどうってことはないんだ」と、子どもに思わせてあげたいものです。
親の期待に応えてくれたときに、思いきりクドクドほめることは、「こうしてくれることで、私はうれしい」と、子どもを脅迫しているようなもの。やり過ぎると、子どもは金縛りにありますよ。
また、叱ることと背中あわせで、親の評価を気にしながら生きていく子になる心配があります。ほめることも、行き過ぎは毒ということです。「それは、いいことがあったね、おりこうだったね」くらいで、さらっとほめるのがいいのです。(32-33頁)

教育というのは大変難しいものです。しかしだからこそ面白いのかもしれません。今後のプログラミング教室スモールトレインでは、教育を通して親御さんと子どもたちに真剣に向き合っていこうと決意しています。より良い教育の実現に向けて頑張っていきます。

参考文献 若松亜紀・佐々木正美『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』 PHP研究所、2013年

*このコラムは、コンピュータリブ社の発行する「やさしくデジタル4月号」に掲載されている内容を許可をいただいて転載しております。

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