2016/10/25
やさしく教育論⑧~努力する人間になってはいけない
東京都渋谷区にある小学生対象のプログラミング教室スモールトレインで講師をしております福井です。今回ははやさしく教育論⑧として「努力する人間になってはいけない」です。こちらもやさしくデジタル2016年9月号に掲載されたものが元になっています。
タイトルが強烈ですが、内容は「その通り」と思わせるものになっています。やさしくデジタルの読者の方にも好評でした。
「努力する人間になってはいけない」。このように聞くと「そんなバカな」と思うのではないでしょうか。一生懸命やりなさい、努力しなさいと言われたことが無い人はいません。また何かできないことがあると、「努力が足りない」と言われたこともあるでしょう。これはそれとは真逆のフレーズですよね。ですから到底受け入れられない。そうした反応が出るのはもっともです。
さて、この「努力する人間になってはいけない」。これは本のタイトルです。この本は努力をするなと言っているわけではありません。考えろというのがその中心的メッセージです。まず冒頭、以下の4つのパターンが紹介されます(26頁)。
一つ目は、怠け者だけれども目標を達成する人
二つ目は、がんばり屋で目標を達成する人
三つ目は、がんばり屋で目標を達成できない人
四つ目は、怠け者で目標を達成できない人
さて、この中でどの人材が最も有害なのでしょうか。会社としては目標を達成できない人は困りますよね。そこで、答えは三番目の人材になります。その理由は「目標達成ができない場合、こういった“まじめ”な人は、もっと働かなくてはいけない、というように(まじめに)反省しますから勤務時間がどんどん延びていく」(27頁)からです。
そして結果として「「こんなにがんばっているのに」「他に私より遅く来て、早く帰る人もたくさんいるのに」というように」(27-28頁)なってしまいます。四番目の人材はそもそも会社に期待されていない人ですから、このような人は自然と会社からいなくなります。そのため、三番目の人材よりも害がないと言えます。
どうでしょうか。なぜ「努力する人間になってはいけない」か分かりましたか。しかし、なぜこうした努力する人たちは目標を達成できないのでしょうか。その理由は「仕事の仕方を変えて目標を達成しようとはせずに、時間をさらにかけて達成しようとする」(28頁)からです。確かにこれは言えますよね。仕事の仕方を変えることで短時間で仕事を完成するのが正しいやり方なのですが、仕事の仕方は変えないで時間ばかりがかかる。
そして残業時間がどんどん延びる。このようなことは何も仕事だけではなく、勉強でも同じです。時間だけがかかって宿題は終わらない、成果は出ない。でも時間はかけています、勉強していますとなります。
では、こうした努力主義におちいった状態を変えるにはどのようなことをすれば良いのでしょうか。そのためには「〈努力する〉の反対が、〈考える〉ということ」(33頁)だと認識する必要があると筆者は言います。「考える」の反対は「行動する」ではないのかと思う方もいるかもしれませんが、ここで言う「考える」は「変える」という意味です。
努力することではなく、考えることで今までの仕事を変えること、ひいては会社を変えることがこれから求められていることではないでしょうか。言われたことを時間をかけて行うことは誰でもできます。しかし、当たり前ですが、時間は有限ですので、早くできる方が会社としては助かるわけです。当然ですよね。
変えることが必要なのは仕事だけではありません。先ほども書いたように勉強も努力主義ではいけません。勉強の仕方、宿題のやり方を工夫できない人が勉強ができるようになることはありえないでしょう。
例えば歴史の暗記も暗記本を買ってきて覚えるよりも、自分でゴロ合わせを作って覚えた方が覚えられますし、忘れることが少ないと言えます。こうしたちょっとした工夫が結果を大きく分けるというのをたびたび見てきました。
私達が運営しているプログラミング教室スモールトレインでは「考える」ことを教えています。分からない問題を分からないから考えないのではなく、分からないから考える。そのような教育をプログラミング教育を通して実践しているところです。
多くの方にプログラミング教室スモールトレインに参加していただくため、コースとして月2回、月4回、月8回とあり、曜日固定ではなく空いている時間に来られます。遠方だからと悩んでいる方もぜひ説明会にご参加ください。お待ちしております。
現在、プログラミング教室スモールトレインでは、説明会&体験会を実施中です。説明会&体験会は10月29日(土)、11月6日(日)に開催します。ぜひお気軽にご参加下さい。
参考文献:芦田宏直(2013年) 『努力する人間になってはいけない』 株式会社ロゼッタストーン